2022年9月7日1 分狛犬学事始「狛犬学事始」 ナカニシヤ出版:ねずてつや 風景に溶け込んでしまっているけれど、改めて観察したり、 AとBを見比べたりして楽しむ何かしらの「物体」があれば、散歩は楽しい。 かくいう私は狛犬ウォッチャーである。 「いい狛犬」「個性的な狛犬」がいるとついつい写真を撮ってしまう。...
2022年8月17日1 分アイの物語「アイの物語」 角川文庫:山本弘 人工知能元年、と言われて幾年かが過ぎた。 シンギュラリティとやらがどうやら迫っており、 放映中の仮面ライダーもそれが物語のベースになっている。 (注:仮面ライダーゼロワン/2019年) で、結局何が起こるのかわからないまま日々は過ぎているが...
2022年8月3日1 分「鼻行類」平凡社ライブラリー:ハラルト・シュテュンプケ 基本的に、読書は役に立たない。 変な知識が身につく場合はある。しかし、読めば読むほどいろいろ忘れていく。ちゃんとアウトプットを繰り返さないとインプットは身につかないものだ。 さらに、知識には全くどうでもいいどころか邪魔にすらなる...
2022年7月20日1 分マルタの鷹「マルタの鷹」 創元推理文庫:ダシール・ハメット 小説ではなく映画の話から入るが、ハンフリー・ボガードが格好良すぎる。 彼の演じる主人公サム・スペイドがあまりにも硬派でスタイリッシュなため、 ついつい誤解してしまう。 「マルタの鷹と言えば男の美学!男の美学って『職分に殉じる...
2022年7月13日1 分アナバシス「アナバシス」 岩波文庫:クセノポン 古代ギリシア。 ペルシャ王国に傭兵として雇われていたギリシア人一団が、突如追われる身となり、 メソポタミアから遠い故郷を目指して6000キロを歩く。 糧秣も乏しく、敵国のど真ん中でいつ襲われるかもしれない...
2022年7月6日1 分独ソ戦「独ソ戦」 岩波新書:大木毅 不謹慎極まりないことを書くが、戦争は面白い。 戦車は無骨でかっこいいし、戦闘機はセクシーだ。 兵器もずいぶん魅力的だが、戦争それ自体も大変興味深い。 そして「独ソ戦」は最高に面白い読み物だ。...
2022年6月22日1 分鏡は横にひび割れて「鏡は横にひび割れて」 著者:アガサ・クリスティー アガサ・クリスティーといえば「名探偵ポアロ」シリーズが有名だが、 個人的には「ミス・マープル」のシリーズの方が気に入っている。 その中でも好きなのはこの1作だ。 ミス・マープルは老婆である。体力も膂力もない。...
2022年6月15日1 分分別と多感「分別と多感」 ちくま文庫 著者:ジェーン・オースティン 小さい世界の悲喜こもごもを描かせたら誰もかなわないジェーン・オースティン。 およそ200年前の小説だが、魅力は色褪せない。 その彼女による「完璧」と言ってよいデビュー作。 「分別」を体現する自律的な姉エリナーと、...
2022年6月8日1 分弓と禅「弓と禅」 著者:オイゲン・ヘリゲル とても短い読みものだ。 ドイツ人哲学者である著者が日本での滞在中に弓道へ入門し、 「弓を射る」というただそれのみを体得していく過程を綴った本である。 故スティーブ・ジョブズが愛読していたということでもよく知られている。...
2022年5月25日1 分白鯨「白鯨」 ハーマン・メルヴィル 10代の頃、「世界の名作文学」を読もうとしてある本で挫折した。 それが『白鯨』だった。 完全に読み方をわかっていなかった。 国語の授業で習うような読み方しか私にはなく、白鯨はそれとは全く逆の、...
2022年5月18日1 分ドーナツを穴だけ残して食べる方法「ドーナツを穴だけ残して食べる方法」 ショセキカプロジェクト:編 日本経済新聞社 タイトルだけで惹かれてしまう。 一線で活躍する大阪大学の研究者たちが『 ドーナツを穴だけ残して食べる方法』というテーマで、様々なエッセイを寄稿した本。...
2022年5月11日1 分昼の家、夜の家「昼の家、夜の家」 白水社 著者:オルガ・トカルチュク 「さあ今からポーランドの小説を読むぞ」 と身構えてしまうと 「二つの大国に挟まれ歴史を奪われてしまった国の、アイデンティティを探るお話」 として読んでしまいがちだ。...
2022年4月20日2 分「ほがらか人生相談」「ほがらか人生相談」朝日新聞出版 著者:鴻上 尚史 鴻上尚史の「あとがき」が好きだった。 よく読んでいたのは大学生の頃だ。「ハッシャ・バイ」「トランス」「スナフキンの手紙」などの戯曲を買い、読みふけっていた。 実際の舞台はどれも行かずじまいだった。...
2022年4月13日1 分絵を見る技術「絵を見る技術」 朝日出版社 著者:秋田 麻早子 素人が生身で絵画と向き合うことはなかなか難しい。 初見で感じた印象から次は、 絵の横に架けられた「この作品が書かれた頃、画家は云々」といった パネルを読んでやっと理解した気になる… その繰り返し。...
2022年4月6日1 分孤独なバッタが群れるとき「孤独なバッタが群れるとき」 東海大学出版部 著者:前野ウルド浩太郎 新書大賞2018を受賞した「バッタを倒しにアフリカへ」の前日譚。 一介の大学院生が少しずつ研究者として成長していく過程を描く、 抱腹絶倒ビルドゥングスロマンであり、...
2022年3月9日2 分沙門空海唐の国にて鬼と宴す「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」 著者:夢枕獏 全4巻。一気に読んだ。 読まされた、という方が正しい。 さすがは夢枕獏である。 一文、一文のパワーがすごい。 テンポ、リズムがうねりを生んであっという間に巻き込まれて戻れない。...
2022年3月3日2 分脳の中の幽霊「脳の中の幽霊」 角川文庫:V.S.ラマチャンドラン 失ったはずの手足を痛いと感じてしまう症状を幻肢痛と呼ぶ。 英語にするとファントムペイン。 中二病を引きずっている私の奥底がどことなく喜ぶ響きだ。 本書は、そんな幻肢痛など著者が臨床で触れた不思議な症状の各種を追いながら、...
2022年2月23日2 分侍女の物語「侍女の物語」 ハヤカワepi文庫:マーガレット・アトウッド 「それが本当の出来事ではない」からこそ私たちは小説を楽しめる。 時折小説を現実の出来事と混同してしまう読者もいるが、 ラジオから流れたウェルズ「宇宙戦争」を聴いて...
2022年2月16日2 分どくとるマンボウ航海記「どくとるマンボウ航海記」 新潮文庫:北杜夫 十代の私は本書を読んで 「こんな風に無責任な旅をして、面白おかしい紀行文を書き散らかしたいものだ」と 思ったりした。 とはいえいざ「一人旅だ」と意気込んで出かけても自転車で同じ県内の祖母の家まで出かけるくらいがせいぜいで、それで...
2022年2月9日2 分火車「火車」 新潮文庫:宮部みゆき 宮部みゆき初期作品の白眉にして日本ミステリ界に燦然と輝く名作。 何をいまさら、といったところだが、 作中の謎を解く鍵となったとある施設は現在、影も形もなくなり (跡地であるというプレートだけが残っている)、...