ちくま文庫 著者:ジェーン・オースティン

小さい世界の悲喜こもごもを描かせたら誰もかなわないジェーン・オースティン。およそ200年前の小説だが、魅力は色褪せない。
その彼女による「完璧」と言ってよいデビュー作。
「分別」を体現する自律的な姉エリナーと、「多感」の代表者として情緒的に突っ走る妹マリアンの対比が面白い作品だが、エリナーがいかに打算的で感情に揺さぶられているのかを丹念に深読みしていくとさらに味わいが増す。
次作「高慢と偏見」や「マンスフィールドパーク」が世間的には有名で評価も高いが、エンタメ性は本書が上回る。
まさにオースティン入門に最適なので、これをまず読み、次に「高慢と偏見」を読んで、ついでに「高慢と偏見とゾンビ」と読んでいくルートがおすすめ。
高崎立郎(ジュンク堂書店高松店 店長)