「絵を見る技術」朝日出版社 著者:秋田 麻早子

素人が生身で絵画と向き合うことはなかなか難しい。
初見で感じた印象から次は、絵の横に架けられた「この作品が書かれた頃、画家は云々」といったパネルを読んでやっと理解した気になる…その繰り返し。
この本は、そんな我われ素人が身につけるべき、絵画をきちんと見るために必要な「ビジュアルリテラシー」の基本について、一から教えてくれる良書。
例えば第一章は、「この絵の主役はどこ?」と題されており、まず着目すべき絵画の焦点について解説が始まる。
光がばっちり主役に当たっている絵はわかりやすいが、そうでない場合は何を頼りにすればよいのか。丁寧な解説と共に、具体例となる絵画も多数掲載されており、「どんどん身についてくる」感覚が味わえる。
美術史や図像学、画家の生涯といった知識がなくとも、「その名画が名画たる条件」を判別する力が身につく、人生を変える一冊だ。 高崎立郎(ジュンク堂書店高松店 店長)