「鼻行類」

平凡社ライブラリー:ハラルト・シュテュンプケ



基本的に、読書は役に立たない。


変な知識が身につく場合はある。しかし、読めば読むほどいろいろ忘れていく。ちゃんとアウトプットを繰り返さないとインプットは身につかないものだ。


さらに、知識には全くどうでもいいどころか邪魔にすらなる知識だってある。鼻行類はそんなムダ知識の詰まった書籍だ。


本書ははっきり言ってしまえば偽書である。偽の図鑑であり、偽の生態学研究書。この世にいない哺乳類を「新種が見つかった」という程で紹介する、ともすれば害悪的な書籍と言えよう。


とはいえ、この本を読んでいる時の妙な喜びはなんだろう。どうでもいいことを頭に叩き込む快感。事実として、脳みそは無駄を求めている。


役に立たなさで言えば間違いなく一級品なので、全くお勧めはしない一冊である。しかしまあ、読書体験としては最高のものが待っている(かもしれない)パワーを持った一冊ではあるのだ。    


高崎立郎(ジュンク堂書店高松店 店長)

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