「ドーナツを穴だけ残して食べる方法」
ショセキカプロジェクト:編
日本経済新聞社

タイトルだけで惹かれてしまう。
一線で活躍する大阪大学の研究者たちが『
ドーナツを穴だけ残して食べる方法』というテーマで、様々なエッセイを寄稿した本。
元は同大学の学生たちが「自分たちで本を作るプロジェクト」として
大阪大学出版界から出版されたものが文庫化し、手に取りやすくなった。
そもそものテーマが矛盾をはらんでいるため、
「次はどんな屁理屈で自分の研究フィールドに話を持っていくのか」という話の展開が楽しい。みんな残す気もないし食べる気すらなかったりする。
個人的には化学の話(「ドーナツ型オリゴ糖の穴を用いて分子を捕まえる」)が面白かったしワクワクした。
大学一年生向けに編まれたというものなので、
どのエッセイも専門的すぎず門外漢でも読めるわかりやすさとなっている。
誰が読んでもどれか一つは引っかかるものがあるだろう。
高崎立郎(ジュンク堂書店高松店 店長)