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彼方のアストラ

「彼方のアストラ」(全5巻)

集英社:篠原健太




WEB連載中に「これは単行本買わねば」と衝撃を受けた作品。

いや、漫画まで買ってたら居住空間がなくなるので普段はほとんど買わないのです。


そんな「彼方のアストラ」はずっと手元に置き何度でも読み返したくなる

傑作ジュブナイルSFであり、傑作という修辞の前に

「この世ありとあらゆるものの中で最高の」と付け加えてもよいとさえ思っている。


練り込まれた軽妙な対話と、

そこから浮かび上がる登場人物たちのビビッドなキャラクター像。

程よい納得感のあるガジェットと、異星の生物相。

そして何よりほぼ完璧だと行ってよい伏線回収と、

そこに至る事象と感情とを丁寧に積み上げる職人芸的なストーリーテリング。

ミステリとして読んでも満足できる、

2010年代の「11人いる!」と言っても過言ではない作品だ。


個人的に好きなのは2巻、惑星シャムーアでの一連のエピソードで、

ここだけ読んでも鳥肌が立つくらいに完成度が高い。

惑星に降り立つ主人公カナタの一歩目からもう伏線なのだ。


未読&アニメ未視聴の方が逆に羨ましい。

この作品にゼロの状態から触れる衝撃を、どうか全力で楽しんでいただきたい。 


高崎立郎(ジュンク堂書店高松店 店長)







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