沙門空海唐の国にて鬼と宴す

「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」

著者:夢枕獏


全4巻。一気に読んだ。

読まされた、という方が正しい。

さすがは夢枕獏である。


一文、一文のパワーがすごい。

テンポ、リズムがうねりを生んであっという間に巻き込まれて戻れない。

書き終えるまで18年かかった、とあとがきにあるので、

一気読みしてしまって逆に申し訳ない気持ちになった。


恥ずかしながらこちらに越して来るまで弘法大師が讃岐の出身だとは知らなかった。

本書には讃岐の話は出てこないが(舞台は唐なので)、

若いうちから弘法大師がすごい人であり、

仏教界の世界的スーパースターの一人であるということが心底納得できた。


もちろん本書は伝奇小説なので、呪術というか魔術というか、

そういうものの能力バトルは繰り広げられるし、悪鬼妖怪の類も出てくる。

ところが主人公空海は、若い身空でいったいどういう修業を積んだものやら、

とにかく襲い掛かる怪異をものともしない。


当時の中国からすれば田舎の蛮族同然の日本人が長安の都で大活躍する、

というのだからそれだけで痛快に感じてしまう上に、

空海を通じて仏法の深淵にも触れてしまう気分になる。


そしてタイトルにもある「宴」というクライマックスに向かって、

段々と怪異の正体が明かされる展開も、ダイナミックで緻密なその構成力に唸らされる。

とにかく、私がここで何を言おうとそれ以上に超絶面白いので、

未読の方は今すぐ読んだ方がいい。

高崎立郎(ジュンク堂書店高松店 店長)

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