「狛犬学事始」
ナカニシヤ出版:ねずてつや



風景に溶け込んでしまっているけれど、改めて観察したり、
AとBを見比べたりして楽しむ何かしらの「物体」があれば、散歩は楽しい。
かくいう私は狛犬ウォッチャーである。
「いい狛犬」「個性的な狛犬」がいるとついつい写真を撮ってしまう。
(ところで岩清尾八幡宮の狛犬は最高ですね。首がなくて可愛い)
もちろん対象は狛犬でなくてもなんでも良いわけで、
草花、表札、鉄塔など町はいつでも発見とワンダーの扉を開いてくれている。
本書はそんなウォッチャーに向けて書かれた、
「この観察趣味がどうやったら学問になるのか」を試行錯誤する記録だ。
データを集め、分類する。起源を調べ、資料を掘り下げる。
狛犬の文化とはそもそも何かを考える。その過程一つ一つが綴られている。
実際に「狛犬学」がこの一冊で確立されたというわけではないが、
本書を読むことで「自分の好きな物、好きなことをどうやって形にするか」のヒントが
必ず得られると思う。 高崎立郎(ジュンク堂書店高松店 店長)